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原子核エネルギー:核分裂における角運動量生成
Nature 590, 7847 doi: 10.1038/s41586-021-03304-w
重い原子核が分かれる(分裂する)際に、分裂片に回転が生じることが観測されているが、この現象は40年以上にわたって核物理学における謎であった。各分裂片の内部で通常、基本単位の6倍か7倍の角運動量が生じることは、スピンがゼロまたはほぼゼロから出発する系については特に不可解である。角運動量を生成する機構に関する多くの競合理論を明確に区別できるようにする実験的観測結果は、今のところ存在しない。とはいえ、集団振動モードの励起によって原子核が分かれる前(分裂前)に固有スピンが生成されるということで意見は一致している。今回我々は、分裂片同士のスピンの間に有意な相関はなく、そのため、分裂時の角運動量は、実際には核が分かれた後(分裂後)に生成されると結論付けられることを示す。我々は、平均スピンが質量に強く依存し、鋸歯状分布で変動することを示す包括的データを提示する。また、一方の分裂片のスピンがもう一方の原子核の質量や電荷に顕著な依存性を示さないことが観測され、分裂後のスピン機構の非相関的性質が確認された。我々は、これらの観測結果を説明するために、分裂途上の系の裂けた首に当たる部分の核子の集団運動によって、ゴムが弾けるのと同じようにして2つの独立したトルクが生じると提案する。統計理論に従い角運動量状態の占有に基づいてパラメーター化することで、実験データの全範囲がうまく記述された。核分裂におけるスピンの役割に関する今回の知見は、核分裂の基礎的理解と理論的記述に重要であるだけでなく、原子炉におけるγ線加熱問題、中性子過剰同位体の構造の研究、超重元素の合成と安定性にも関係してくる。

