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膵臓腫瘍:遺伝子と環境により誘導されるエピジェネティックプログラムが腫瘍発生を開始させる

Nature 590, 7847 doi: 10.1038/s41586-020-03147-x

組織損傷はがんのリスクを高めるが、その機構はよく分かっていない。膵臓がんのマウスモデルにおいて、組織損傷に関連した膵臓炎は、Krasがん遺伝子の活性化変異と協働して、初期腫瘍病変を、そして最終的には腺がんの形成を著しく加速させる。今回我々は、自然発生マウスモデルにおいて、ゲノミクス、単一細胞クロマチンアッセイ、時空間的に制御された機能摂動を統合して用い、Kras変異と組織損傷が組み合わさると膵臓上皮で独特なクロマチン状態が促進され、この状態が正常な再生と腫瘍性形質転換を区別して、悪性進化の過程を通じて選択されることを示す。がんに関連したこのエピジェネティック状態は、膵臓損傷後48時間以内に現れ、ヒト膵臓がんを特徴付ける遺伝子の初期調節異常に関わる「腺房から腫瘍へ」のクロマチン切り替えを伴っていた。前悪性状態の膵臓上皮での組織損傷後に最も速やかに活性化される因子の中には、アラーミンサイトカインであるインターロイキン33(IL-33)があり、IL-33は変異型Krasと協働して損傷の影響を再現し、初期腫瘍や腫瘍性形質転換のエピジェネティックなリモデリングプログラムを開始させた。まとめると我々の研究は、遺伝子と環境の相互作用がいかにして、初期の腫瘍への運命拘束を決定する遺伝子調節プログラムを速やかに引き起こし得るかを明らかにするとともに、がんのイニシエーションにおける遺伝的合図と環境的合図の相互作用を理解するための分子的枠組みを提供するものである。

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