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植物科学:土壌窒素に対するイネの地理的適応のゲノム基盤

Nature 590, 7847 doi: 10.1038/s41586-020-03091-w

無機窒素の集中的な施肥は作物の大幅な増産の基礎をなしているが、生態系には悪影響を及ぼす。そのため、今後の持続可能な農業では作物植物の窒素利用効率の改善が極めて重要となる。本論文では、イネ(Oryza sativa L.)における、局地土壌への適応に関連する窒素利用効率の遺伝学的基盤について報告する。さまざまな生態地理的地域から収集した多様なイネ生殖質のパネルを用いて、窒素に対する分蘖反応(イネにおいて窒素利用効率と最も密接に相関する形質)に関するゲノム規模の関連解析を行ったところ、OsTCP19が、この分蘖反応の調節因子であることが明らかになった。OsTCP19は、窒素に対する転写応答と、分蘖促進遺伝子DWARF AND LOW-TILLERINGDLT)への標的化を介して作用する。また、OsTCP19プロモーターにおける29 bpの挿入や欠失は、イネのさまざまな品種間で、異なる転写応答と、窒素に対する分蘖反応の変動をもたらした。窒素に対する分蘖反応の高さと関連するOsTCP19の対立遺伝子は、イネの野生個体群に広く見られるが、現代の栽培品種ではほとんどが失われていることが分かった。この喪失は局地土壌の窒素量の多さと相関しており、これは、この対立遺伝子がイネの地理的適応に寄与してきた可能性を示唆している。また、分蘖反応の高さに関連する対立遺伝子のイネの現代の栽培品種への移入は、低いまたは中程度の窒素レベルにおいてイネの穀粒収量の増大と窒素利用効率の向上をもたらしたことから、イネの育種、および作物への窒素施肥量の削減による環境への悪影響の緩和に関して、大きな可能性が示された。

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