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脊髄損傷:神経補綴圧反射による脊髄損傷後の血行動態の制御
Nature 590, 7845 doi: 10.1038/s41586-020-03180-w
脊髄損傷(SCI)は血行動態の不安定化を引き起こし、この不安定化によって生存が脅かされ、神経学的回復が妨げられるとともに、心血管疾患のリスクが上昇して、生活の質が低下する。この状況における血行動態の不安定性は、上脊髄中枢から脊髄内の交感神経回路へと向かう遠心性指令の遮断に起因しており、これによって、正常な圧反射がこれらの回路を制御して末梢血管抵抗を調整するのが妨げられる。脊髄の硬膜外電気刺激(EES)は、上脊髄中枢から損傷部位以遠の運動回路へと向かう遮断された指令を補い、麻痺後の歩行を回復させることが示されている。今回我々は、これらの概念を利用して、SCI後に血行動態の安定性を回復させるEESプロトコルを開発した。我々はまず、交感神経回路の立体配置と動態を解析して、EESがこの回路に作用する仕組みを理解できるようにする前臨床モデルを作成した。次に、その時空間的特性を刺激プロトコルに取り入れて、閉ループで動作する臨床グレードの生体模倣性血流動態調節装置を考案した。この「神経補綴圧反射」により、齧歯類、非ヒト霊長類、ヒトで、急性および慢性のSCI後に、血流動態を長期にわたって制御することができた。今後は、この神経補綴圧反射を、SCIの患者が広く利用できる治療法にするために、臨床試験を行う予定である。

