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神経科学:記憶の固定に睡眠が必要か否かは、食物の利用可能性によって決まる

Nature 589, 7843 doi: 10.1038/s41586-020-2997-y

睡眠は生物学の大きな謎の1つであり、その基本的機能はよく分かっていない。睡眠の機能として最も多く提案されるものの1つは記憶の固定である。しかし、例えば飢餓のような状況では、生物は覚醒して活動しなければならず、睡眠に依存しない記憶固定機構に切り替える能力は進化的に有利になる可能性がある。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)で、睡眠依存的な記憶と睡眠非依存的な記憶の形成を可能にする適応的な回路基盤機構を突き止めた。嗜好性条件付け後に摂餌したハエは、記憶固定に睡眠の増加を要したが、訓練後飢餓状態に置かれたハエは、記憶形成に睡眠を必要としなかった。摂餌したハエの記憶は、キノコ体前側および後側のα′/β′ニューロンを介していたのに対し、飢餓状態のハエの記憶は、内側のα′/β′ニューロンを介していた。睡眠依存的な記憶と非依存的な記憶は、別個なドーパミン作動性ニューロンと、それぞれに対応するキノコ体出力ニューロンに依存していた。一方で、睡眠依存的な記憶に必要なキノコ体ニューロンは睡眠も促進するという、睡眠と記憶の共役も見つかった。ニューロペプチドFを欠失したハエは、飢餓状態でも睡眠依存的記憶を示し、これは記憶回路の選択が飢餓によって決められることを示唆している。こうした記憶回路の可塑性によって、ハエは、変化する環境下でも必須の情報を保持することができるのである。

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