環境科学:1961〜2017年の土地利用排出を駆動した全球的要因と地域的要因
Nature 589, 7843 doi: 10.1038/s41586-020-03138-y
歴史的に、人類の土地利用によって、生態系の変化および断片化、生物多様性の低下、炭素循環や窒素循環の擾乱、膨大な量の温室効果ガス(GHG)の大気への追加がもたらされてきた。しかし、化石燃料による二酸化炭素(CO2)排出とは対照的に、土地管理と土地利用の変化によるGHG排出(合わせて「土地利用排出」と呼ばれる)の傾向と駆動要因については、包括的かつ体系的には評価されていない。今回我々は、1961〜2017年の全球土地利用排出について、国別、過程別、GHG別、生産物別のインベントリーを提示し、人口動態、経済、技術といった排出の主要な駆動要因を分析するとともに、さまざまな説明の前提条件に対する結果の不確かさと感度を評価した。その結果、人口が着実に増加し(144%増)、1人当たりの農業生産も着実に増える(58%増)とともに、使用されている土地面積当たりの排出量がわずかに増大している(8%増)にもかかわらず、農業生産の単位当たりに必要な土地が減少している(70%減)ため、全球の年間土地利用排出量は、2001年までCO2換算で約11ギガトンと比較的一定に保たれていたことが分かった。2001年以降は、土地面積当たりの排出量の増大に駆動され、排出量がCO2換算で10年当たり2.4ギガトン増大し、2017年にはCO2換算で14.6ギガトンに達した(人為起源のGHG総排出量の約25%に相当)。排出強度は全ての地域で低下しているが、地域間の大きな差異は、時間が経過しても維持されていた。排出量の最も多い3地域(ラテンアメリカ、東南アジア、サハラ以南のアフリカ)が1961〜2017年の全球排出量の増大を支配しており、これは、農業生産の急速かつ広範な成長とそれに関連する土地利用の変化によって生じたものである。さらに、特定の生産物に関連して、不均衡な排出が生じていた。つまり、牛肉など少数の赤身肉は、カロリーベースでは世界の生産量の1%しか供給していないが、総土地利用排出量の25%を占めている。土地利用の変化による排出量が無視できるか、減少している地域でも、CO2換算で1人当たり0.5トン近くという土地利用排出量が維持されており、これは、こうした地域が現在の排出量削減の取り組みのフロンティアであることを示唆している。今回の結果は、既存の知見(例えば、人口増加、経済成長、食餌選択の役割に関する知見)と一致しているが、地域や部門別の変化傾向に関して新たな知見を与えるものである。

