Article

社会科学:オンライン求人プラットフォームを介した雇用差別の監視

Nature 589, 7843 doi: 10.1038/s41586-020-03136-0

女性は男性に比べて、また、少数民族集団に属する人は多数民族集団に属する人に比べて、多くの経済圏で不利な労働市場結果に直面しているが、これらの影響に差別がどの程度関与しているのか、そしてそうした影響がどのような経路を通して生じるのかについてはよく分かっていない。研究者が、実験対象とする無作為化された少数派の特徴(例えば、氏名の響きが黒人と見なされるか白人と見なされるか)以外は同一である架空の履歴書を送付する、という文書通信実験は、雇用行動での差別を定量化する方法として一般的になってきているが、この方法では通常、応募者の少数の特徴をある特定の時点に限られた職業でしか検討できない。これらの制約を克服するため、今回我々は、求人ウェブサイト上での採用担当者の検索行動の追跡と、採用担当者が見ることのできる求職者の全ての関連する特徴を調整するための教師あり機械学習とを組み合わせた、雇用差別の調査方法を開発した。この方法を、スイスの公共雇用サービスのオンライン求人プラットフォームに適用したところ、採用担当者が連絡を取った割合は、移民や少数民族集団に属する求職者では、多数民族集団に属する人に比べて、その出生国にもよるが4〜19%低いことが分かった。男性が多数派の職業で女性が受ける不利益は7%であり、女性が多数派の職業では男性に対して逆のパターンが見られた。採用担当者が求職者のプロフィールを評価する時間については、少数民族集団に属する人でより短いことを示す証拠は得られなかった。我々の方法論は、研究者や政策立案者が、雇用差別の継続的な監視、差別の駆動要因の一部の特定、差別をなくすための取り組みへの情報提供に使うことのできる、広範に適用可能で非侵害的かつ費用対効果の高いツールとなる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度