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コロナウイルス:感染率が低い時にSARS-CoV-2を特定するためのプール検査戦略

Nature 589, 7841 doi: 10.1038/s41586-020-2885-5

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染を抑制するには、ウイルス感染者の迅速な特定と隔離を継続していく必要があるだろう。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT–PCR)検査は正確だがコストがかかるため、全ての人に対して定期検査を行うには高くつく。こうしたコストは世界の全ての国にとって課題だが、特に低所得国や中所得国では大きな問題である。コストの削減は、集団としてサブサンプルをプールし(すなわち混ぜ合わせて)検査することで実現できる。検査時に試料を採取した地域においてウイルス量の少ない感染者では、試料の希釈により結果が偽陰性となる可能性が高くなるため、集団サイズの増加と検査感度の維持のバランスを取らなくてはならない。同様に、コストを削減するための検査数の最小化も、感染の拡大を抑えるためには、検査にかかる時間の最小化とバランスを取る必要がある。今回我々は、超立方体での配置に基づいてサブサンプルをプールするためのアルゴリズムを提案する。このアルゴリズムは、感染率が低い時に少ない検査回数と少ない検査ラウンド数でSARS-CoV-2感染者を正確に特定できる。我々は、最適な集団サイズについて論じ、この疾患の感染性が高いことを踏まえ、大規模な並行検索が好ましい理由について説明する。我々は、陽性のサブサンプルを陰性のサブサンプルで100倍に希釈した場合でも、陽性試料を検出できるという概念実証実験について報告する(以前の研究で検出が報告されているのは30〜48倍希釈だった)。我々はまた、希釈による感度の低下を定量化し、例えば、集団の頻繁な再検査によってどの程度軽減されるかについて検討した。これらの方法を用いることで、集団検査のコストが大幅に削減できた。感染率が低い時には、コストは感染率にほぼ比例して減少する。我々の手法の実地試験は現在、ルワンダと南アフリカで進行中である。入念かつ継続的に大規模な集団検査を使って人口の感染率をモニタリングすることは、SARS-CoV-2感染者の迅速かつ効率的な隔離とともに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期的な制御への有望な道筋をもたらす。

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