遺伝学:自閉症におけるde novo縦列反復配列変異のパターンとその役割
Nature 589, 7841 doi: 10.1038/s41586-020-03078-7
自閉症スペクトラム障害(ASD)は早期発症型の発達障害であり、コミュニケーションや社会的相互作用における障害と、限定的あるいは反復的な行動を特徴とする。家系研究からは、ASDには遺伝的バリアントとde novoバリアントの両方が寄与する大きな遺伝的基盤があることが示されている。de novo変異は、全ての孤発性ASD症例(家族内で1人の子どものみ発症している場合)のうち30%に寄与すると推定されている。縦列反復配列(TR;ここではサイズが1~20塩基対の配列が連続的に反復したものと定義する)は、ヒトのde novo変異の主要な供給源の1つとなっており、TRの伸長は多数の神経疾患や精神疾患と関連付けられている。しかし、de novo TR変異はこれまでゲノム規模で特徴が解析されたことはなく、それらのASDへの寄与についても調べられていない。今回我々は、塩基配列データからde novo TR変異を特定して優先順位をつけるための新たなバイオインフォマティクス手法を開発し、これを用いて、ASD発端者とASDを発症していないきょうだいでde novo TR変異のゲノム規模の特性解析を行った。我々は、特定の変異事象とそれらの反復数の正確な変化を推定し、大規模な伸長ではなく、より広く見られる段階的なコピー数変化に主に注目した。その結果、ASD発端者では、TR変異がゲノム規模で著しく過剰になっていることが明らかになった。発端者における変異は、よりサイズが大きく、胎児の脳調節領域に多く見られる傾向があり、進化的により有害だと予測された。まとめると我々の結果は、今後のde novo変異の研究で反復バリアントを考慮することの重要性を強調している。

