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天体物理学:トリプルα反応の速度の増大による超新星の陽子過剰元素合成の減少

Nature 588, 7836 doi: 10.1038/s41586-020-2948-7

12Cを生成するトリプルα反応の速度は、重力崩壊型超新星の陽子過剰なニュートリノ駆動アウトフロー内でのGa–Cd範囲の重元素合成に影響を及ぼす。こうしたアウトフローには最初、陽子と中性子しか含まれていないが、後にこれらの陽子と中性子の結合でα粒子が形成され、次いでトリプルα反応によって12Cが生成し、最終的には物質が膨張し冷却するにつれてさらに重い核が形成される。こうした環境において遭遇する温度が高いにもかかわらず、この反応では、特徴がよく評価されている12C原子核のホイル状態共鳴が支配的であることが、これまでの実験的な研究で実証されている。しかし、核子密度が十分に高いと、陽子と中性子の散乱過程によってホイル状態の有効幅が変わる可能性がある。これは、超新星のアウトフローにおける反応速度はどのくらいか、また、その変化が元素合成予測に及ぼす影響はどの程度か、という疑問を提起する。本論文で我々は、陽子過剰な重力崩壊型超新星のアウトフローでは、これまで無視されてきたこれらの過程によって、トリプルα反応の速度が最大で1桁増大することを報告する。この反応速度が大きくなると、νp過程(νはニュートリノ、pは陽子)によって超新星の最も内側の放出物質に形成される、陽子過剰な重元素同位体の生成が抑制される。反応速度を増大させる機構に関するこれまでの研究では、この速度増大の陽子過剰元素合成に対する重要性は予想されていなかった。高密度ではトリプルα反応の速度への媒質内の寄与が存在するはずなので、この媒質効果を超新星の元素合成モデルに含める必要がある。この速度増大はまた、徐々に変化する熱力学的条件に依存するため、増大していない速度の変動を一定の係数によって調べた初期の感度研究とも異なっている。現実的な条件において結果的に生じる重元素合成の抑制は、太陽系における92,94Moと96,98Ru同位体の異常に高い存在量や、太古の金属欠乏星のスペクトルに見られる初期宇宙のGa–Cd範囲の元素合成の兆候が、νp過程によって説明されるとする従来の考えに疑問を投げ掛けるものである。

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