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神経科学:嗅覚メタマーを創出できるにおいの尺度

Nature 588, 7836 doi: 10.1038/s41586-020-2891-7

波長は光の物理的尺度の1つであり、波長と知覚される色との結び付きを細かく理解することによって、メタマー(条件等色対;同一の色の知覚を生む重なり合わないスペクトル組成)などの知覚実体を生み出すことができる。対照的に、知覚されるにおいに結び付けられる物理的な尺度を開発することはまだできておらず、におい物質間の知覚上の類似の程度を反映するだけの尺度すら存在しない。今回我々は、そうした尺度を作る目的で、242種類の異なる複合成分におい物質を嗅いだ199人の被験者から4万9788組のにおい物質ペアについての知覚的類似推定値を集め、そのデータからにおい物質の構造とにおいの知覚とを関連付ける予測モデルを作成した。出来上がった尺度は、におい物質の21の物理化学的性質を1つの数値(ラジアンで表現)に表現したもので、複合成分におい物質ペア間の知覚的類似度を正確に予測することができた。我々はこの尺度の実用性を評価するため、これを嗅覚メタマーの創出に使えるかどうか検討した。この目的のために、我々はまずこの尺度のカットオフ値を求め、互いから0.05ラジアン以下の2つの複合成分におい物質は識別が非常に困難であることを突き止めた。このカットオフ値を使って、嗅覚メタマー、つまり同一のにおい知覚をもたらす重なりのない分子構成のペアを設計することができた。知覚の類似度を正確に予測し、その結果に基づいて嗅覚メタマーを創り出せたことから、今回得られたにおい尺度は有効であり、これによってにおいの数値化が可能になるかもしれないことが示唆される。

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