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化学:コンピューターによる複雑天然物の合成計画
Nature 588, 7836 doi: 10.1038/s41586-020-2855-y
アルゴリズムを訓練してコンピューターで多段階有機合成の計画を立てることは、50年以上前からの課題であった。この分野は、人間のオペレーターが各段階で反応の選択を行うLHASAなどの初期のプログラムが開発されてから、大きく進歩した。現在は、完全に自律的に計画を立てることのできるソフトウエアプラットフォームが複数存在する。しかし、こうしたプログラムは一度に1つの段階しか「考え」ず、今のところ、人間の化学者ならほぼ間違いなくコンピューターの助けを借りずに数分以内に合成設計できるような比較的単純なターゲット化合物に限られている。さらに、複雑天然物の妥当な合成経路を設計できるアルゴリズムはまだ存在しない。そうした合成経路を得るには、はるか先を見通した多段階計画が必要であり、密接に関連した先行文献の例は当てにできない。今回我々は、プログラムが有する有機化学に関する知識とデータに基づく人工知能ルーチンの因果関係を用いた拡張によって、プログラムが複数の合成段階にわたり「戦略を立てる」ことが可能ならば、コンピューターによるそうした合成計画が可能であることを実証する。我々は、合成の専門家に対して行われるチューリング的なテストを用いて、そうしたプログラムが設計した経路と人間が設計した経路がほとんど区別できないことを示す。我々はまた、コンピューターによって設計された3つの天然物合成経路を研究室で検証することにも成功した。まとめると今回の結果は、反応の知識基盤の継続的強化とさらなるコード最適化が行われれば、専門家レベルの自動合成計画が実現可能であることを示している。

