Article

細胞生物学:SLC25A51は哺乳類ミトコンドリアのNAD+輸送体である

Nature 588, 7836 doi: 10.1038/s41586-020-2741-7

ミトコンドリアは、呼吸に燃料を供給して細胞のエネルギー変換を仲介するという基本的過程を遂行するために、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を必要とする。ミトコンドリアのNAD+輸送体は酵母や植物では見つかっているが、哺乳類にも輸送体が存在するかどうかは議論が分かれている。今回我々は、哺乳類のミトコンドリアがNAD+をそのままの形で取り込めることを実証し、ミトコンドリアの必須タンパク質だがこれまでは機能が分かっていなかったSLC25A51(別名MCART1)が、哺乳類ミトコンドリアのNAD+輸送体であることを突き止めた。SLC25A51を欠失させると、細胞全体でのNAD+含有量は減少しないが、ミトコンドリアではNAD+含有量が減少し、ミトコンドリア呼吸が障害され、単離したミトコンドリアへのNAD+取り込みが起こらなくなった。逆に、SLC25A51やSLC25A52(SLC25A51とほぼ同一なパラログ)を過剰に発現させると、ミトコンドリアのNAD+含有量が増加し、内在性のNAD+輸送体を持たない酵母ミトコンドリアへのNAD+取り込みが回復した。総合するとこれらの知見は、SLC25A51がミトコンドリアへNAD+を取り込むことができる哺乳類輸送体であることを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度