Article

気候科学:北半球の海水準強制によって増幅される南極氷床のダイナミクス

Nature 587, 7835 doi: 10.1038/s41586-020-2916-2

日射強制と温室効果ガス強制に応答した北半球での氷の損失に起因する海水準上昇は、南極氷床(AIS)の海洋性氷床部分において接地線の後退を引き起こしていると考えられている。こうした半球間の海水準強制によって、複数の氷期サイクルにわたる全球氷床の同期した変化を説明できる可能性がある。AISが最終退氷期とその後(約2万〜9000年前)に1000年スケールで著しく変動したことを示した最近の研究から、この海水準強制のさらなる証拠が得られている。しかし、氷床からの質量損失の結果としての全球の海水準変動は、重力、変形、地球の自転の影響を受けて非常に不均一になっており、AIS接地線の北半球の海水準強制に対する応答はこれまでにモデル化されたものより複雑であると示唆されている。本論文では、全球海水準モデルと結合した氷床モデルを用いて、AISのダイナミクスが北半球の海水準強制によって増幅されることを示す。この半球間の相互作用の結果として、大規模または急速な北半球の海水準強制により、氷期にはAISの接地線の前進とそれに伴う質量増加が、退氷期には接地線の後退と質量損失が促進される。こうした相互作用のないモデルと比べると、北半球の海水準強制を含めた今回のモデルでは、最終氷期極大期(約2万6000〜2万年前)にAISの体積が増え、接地線がより早期に後退して、最終退氷期を通して1000年スケールの変動が生じる。これらの知見は、最終氷期極大期とその後の氷床後退期におけるAISの範囲の地質学的再構築結果や、南極における相対的な海水準変動と一致している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度