Article

生化学:GPCRアイソフォームの発現の組み合わせはシグナル伝達や薬剤応答に影響を及ぼす

Nature 587, 7835 doi: 10.1038/s41586-020-2888-2

Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、細胞外シグナルに応答して、ヒト組織全体で生理機能を調節する膜タンパク質である。GPCRを介したシグナル伝達は、GPCRの塩基配列や発現の変化によって異なることがあり、多様な生理学系で比較する場合、シグナル伝達の偏りにつながる。このような偏りの調べられていない要因の1つは、異なる組織でさまざまな発現パターンを持つ機能的に多様なGPCRアイソフォームの生成である。今回我々は、ヒト組織レベルのトランスクリプトーム、GPCRの塩基配列と構造、プロテオミクス、単一細胞トランスクリプトミクス、集団規模の遺伝的関連研究、薬理学的実験のデータを統合した。我々は、単一のGPCR遺伝子が、異なるシグナル伝達特性を持つ複数のアイソフォームに多様化し得る仕組みや、異なる組織で発現する独特なアイソフォームの組み合わせが異なるシグナル伝達状態を作り出せる仕組みを示す。検出されたアイソフォームのいくつかは、その構造的変化や発現パターンに依存して、薬剤に対する細胞応答に影響を及ぼし、組織選択性が改良された薬剤開発の新たな標的となり得る。我々の知見は、GPCRのシグナル伝達について、カノニカルな見方から状況特異的な見方へ移行する必要性を明確に示している。状況特異的な見方とは、特定の細胞タイプ、組織、あるいは生物におけるアイソフォーム発現の組み合わせが、集合的に受容体のシグナル伝達や薬剤応答にどのように影響するのかを考察するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度