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免疫学:ヌクレオソームによるcGAS阻害の構造的機構
Nature 587, 7835 doi: 10.1038/s41586-020-2750-6
DNAセンサーであるサイクリックGMP–AMPシンターゼ(cGAS)は、微生物感染や細胞ストレス、がんの発生を受けて自然免疫応答を始動させる。細胞質ゾル中のcGASは、二本鎖DNAによって活性化されると2′3′ cGMP–AMPを産生し、これが炎症性サイトカインやI型インターフェロン誘導のきっかけとなる。cGASはまた、ゲノムDNAが詰まっている細胞核内部にも存在しており、そこではクロマチンがcGASの酵素活性の抑制に関わっているとされてきた。しかし、クロマチンによるcGAS阻害の構造的基盤についてはまだ明らかにされていない。今回我々は、ヌクレオソームに結合したヒトcGASのクライオ電子顕微鏡構造を示す。cGASはヒストンH2A–H2Bヘテロ二量体の酸性パッチとヌクレオソームDNAの両方に広範囲にわたって接触している。構造解析および補完的な生化学的解析によって、cGASは2つ目のヌクレオソームにトランスに結合していることが見いだされた。抑制の機構は、ヌクレオソームとの結合がcGASを単量体状態に拘束し、この状態ではゲノムDNAによる誤った活性化が立体障害によって抑制されるというものである。cGASと酸性パッチの界面に変異を導入するだけで、in vitroではヌクレオソームの阻害的影響が消失し、生細胞中ではゲノムDNAに対するcGASの活性が復活することが分かった。我々の研究は、cGASとクロマチンの相互作用の構造的基盤を明らかにするとともに、ゲノムDNAが自己か非自己かをcGASが区別できるようにする機構の詳細を示している。

