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遺伝学:RNA Pol II結合の全体像から明らかになったZGAの段階的な進行

Nature 587, 7832 doi: 10.1038/s41586-020-2847-y

ZGA(受精後の胚性ゲノム活性化)は、生命の最初に起こる転写事象である。しかし、哺乳類のZGAの開始にRNAポリメラーゼがどのように関与するのかは、よく分かっていない。今回我々は、Stacc–seq(Tn5トランスポザーゼを用いる小規模なクロマチン切断と塩基配列解読)という手法を開発し、これを使ってマウス胚でのRNAポリメラーゼII(Pol II)結合の全体像を調べた。その結果、小規模なZGAから大規模なZGAへの移行の間に、Pol IIの状態は「装着」から「事前配置」、「生産」へと変化していくことが分かった。受精後の一細胞期の胚では、Pol IIがCGの多いプロモーターと接近可能な遠位領域に選択的に結合し(装着段階)、こうした装着には両親から受け継いだエピゲノムの作用も関わっている。Pol IIは次いで、ゲノムの活性化前に将来の標的遺伝子へと移動を開始し(事前配置段階)、その後に大規模なZGAが始まると、そこで完全な転写伸長反応に従事する(生産段階)。またPol IIは、大規模なZGAが終わっても胚盤胞期までは、不活性なプロモーターでの待機は弱いまま維持され、これはプロモーターのエピジェネティックな抑制因子の喪失と一致する。小規模なZGAを阻害すると、Pol IIの事前配置や胚発生が損なわれ、それに伴って大規模なZGAの際にPol IIの保持に異常が生じ、一細胞期の標的遺伝子の異所性発現が起こる。このように、哺乳類の生命の最初期にはPol IIの状態の段階的な移行が起こり、小規模なZGAがゲノム活性化のための転写装置やクロマチンの事前配置に重要な役割を果たしていることが分かった。

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