微生物学:単一の細菌属が複雑なマイクロバイオームにおいて根の成長を維持する
Nature 587, 7832 doi: 10.1038/s41586-020-2778-7
植物は、生物種同士や生物種と植物とが相互作用し合う複雑な網の内で成長する。このような相互作用は、幅広いレパートリーの化学的シグナルによって支配されており、結果として生じる根圏の化学的全体像は、根の健康や発達に強い影響を及ぼし得る。今回我々は、微生物間の相互作用がどのようにシロイヌナズナ(Arabidopsis)の根の成長に影響を及ぼすかを理解するために、植物、微生物、環境間の相互作用のモデル系を確立した。実生に185の細菌からなる人工群集を植え付け、非生物的環境を操作して、植物への細菌の定着を測定した。これにより、人工群集を4つの共存株モジュールに分類することが可能になった。我々は、これらのモジュールに基づいて人工群集を分解し、根の表現型を決定する微生物間の相互作用を特定した。これらの相互作用に関与するのは主に単一の細菌属(Variovorax)で、この細菌属は、さまざまな細菌株によって、そして185細菌からなる群集全体によって誘導される根の著しい成長抑制を完全に回復させた。我々は、Variovoraxが、植物のホルモンレベルを操作して、我々の作成した生態学的に現実的な根の人工群集が根の成長に及ぼす影響のバランスを取っていることを実証する。Variovoraxの利用可能なゲノム全てで保存されているオーキシン分解オペロンは、根の成長抑制からの回復に必要かつ十分であることが分かった。従って、代謝シグナルの干渉は細菌と植物の情報伝達ネットワークを形成しており、根の典型的な発達プログラムの維持に不可欠である。根圏の化学的相互作用ネットワークを形作るフィードバックの最適化は、より回復力があって生産性の高い作物開発の有望な生態学的戦略になる。

