がんゲノミクス:腫瘍進化における広範な染色体不安定性と核型の順序
Nature 587, 7832 doi: 10.1038/s41586-020-2698-6
がんにおける染色体不安定性は、染色体の数と構造の動的な変化で構成される。その結果生じる体細胞コピー数多型(SCNA)の多様性によって、腫瘍進化に必要な変動がもたらされる可能性がある。今回我々は、22の腫瘍タイプにわたる394の腫瘍に由来する1421試料について、多試料フェージングとSCNA解析を行い、連続的な染色体不安定性が広範なSCNA不均一性につながることを示す。別々のサブクローン内で同じ遺伝子[BCL9、MCL1、ARNT(別名HIF1B)、TERT、MYCなど]の破壊を引き起こす並行進化事象が、腫瘍の37%で認められた。頻発する喪失の大半は全ゲノム重複の前に起こったと考えられ、全ゲノム重複は腫瘍の49%でクローン性事象として見つかった。しかし、ヒト白血球抗原(HLA)座位でのヘテロ接合性の消失と、単一の一倍体コピーに対する染色体8pの喪失は、全ゲノム重複の起きた腫瘍でもかなりのサブクローンで頻発していた。これは、核型のリモデリングの継続を示している。染色体1q21(BCL9、MCL1、ARNTが含まれる)、5p15.33(TERT)、11q13.3(CCND1)、19q12(CCNE1)、8q24.1(MYC)に影響を及ぼす局所的増幅(focal amplification)は、サブクローン性であることが多いが、単一試料内ではクローン性であるようだった。独立した1024の転移試料群の解析から、腎明細胞がんでの染色体8q24.1(MYCを含む)の獲得やHER2+乳がんでの染色体11q13.3(CCND1を含む)の獲得など、転移試料では13の局所的SCNAが豊富に存在することが明らかになった。染色体不安定性は、SCNAの連続した選択を可能にしていると考えられ、これらは腫瘍の進化を通して並行して起こることの多い順序立った事象として確立されている。

