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植物科学:ロイシンリッチリピート受容体様キナーゼを介した植物のキノン化合物認識

Nature 587, 7832 doi: 10.1038/s41586-020-2655-4

キノン化合物は全ての生物界で産生と感知が行われている。植物はキノン化合物の主要な生産者であるが、キノン化合物が植物体内でシグナル伝達物質として担う役割に関しては、ほとんど分かっていない。キノン化合物のよく立証されている役割の1つは、根に寄生する植物での吸器(栄養摂取のための特殊な構造)の誘導である。吸器の誘導は、宿主由来のキノン化合物である2,6-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン(DMBQ)の存在下で起こる。しかし、寄生植物がどのようにDMBQを感知するのかは不明であり、非寄生植物がキノン化合物を感知できるかどうかも知られていない。今回我々は、植物とキノン化合物のモデルとしてシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)とDMBQを用い、シロイヌナズナでは細胞質内のCa2+濃度上昇を介してDMBQのシグナル伝達が行われることを明らかにする。我々は、シロイヌナズナで順遺伝学的スクリーニングを行い、DMBQに応答しない変異体を分離して、これをcannot respond to DMBQ 1card1)と命名した。CANNOT RESPOND TO DMBQ 1CARD1、別名At5g49760またはHPCA1)遺伝子は、陸上植物で高度に保存されているロイシンリッチリピート受容体様キナーゼをコードしている。シロイヌナズナでは、DMBQは防御関連遺伝子の発現を引き起こし、card1変異体では病原性細菌に対する免疫の障害が認められた。コシオガマ(Phtheirospermum japonicum;根に寄生する植物の一種)では、DMBQは根でのCa2+シグナル伝達を開始させ、吸器の発生に重要な役割を果たした。さらに、この寄生植物のCARD1ホモログは、card1変異体におけるDMBQ誘導性の細胞質内Ca2+濃度上昇を補完した。今回の結果は、動物や細菌とは異なり、植物はキノン化合物のシグナル伝達にロイシンリッチリピート受容体様キナーゼを用いることを示している。本研究では、植物でキノン化合物のシグナル伝達とCARD1の機能が担う役割に関する知見が得られた。これらの結果は、寄生植物の吸器形成と非寄生植物の植物免疫で用いられるシグナル伝達経路についての理解を深めるものである。

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