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物性物理学:らせんスピン磁性体における創発電磁誘導
Nature 586, 7828 doi: 10.1038/s41586-020-2775-x
インダクターは、現代の電子デバイスにおける最も基本的な回路要素の1つで、入力電流の時間微分に比例する電圧を発生させる。従来のインダクターは通常、らせん状のコイルからなり、ファラデーの電磁誘導の法則に従って、コイルを貫通して時間的に変動する磁束に対する反作用として電圧を誘起する。この従来型インダクタンスの大きさは、インダクターのコイルの体積に比例するため、インダクターの微細化は進んでいなかった。今回我々は、磁性体におけるスピンらせんの電流駆動ダイナミクスに誘起された創発電場によって生じる、量子力学的起源のインダクタンスを実証する。我々は、ナノスケールのスピンらせんを持つマイクロスケールの矩形磁気デバイスにおいて、最大−400ナノヘンリー(nH)という典型的インダクタンスを観測した。この値の大きさは市販のインダクターと同等だが、体積はその約100万分の1である。観測されたインダクタンスは、電流の非線形性によって増大し、非単調な周波数依存性を示す。これらの特徴はいずれも、スピンらせん構造の電流駆動ダイナミクスに起因する。インダクタンスの大きさはデバイスの断面積が小さくなるにつれて急速に増大し、これは従来のインダクターとは対照的である。今回の知見は、量子力学的ベリー位相に関連した創発電磁現象に基づく単純形状のマイクロスケール・インダクターへの道を開く可能性がある。

