Review
保全生物学:21世紀における地域ベースの保全
Nature 586, 7828 doi: 10.1038/s41586-020-2773-z
人類は間もなく、自然のために新たな時代を定義付けることになるだろう。全球的な生物多様性の危機に対する数十年にわたる不十分な対応を改めようとする時代だ。保護地域とその他の効果的な地域をベースとする保全手段(OECM)の両方を含む地域ベースの保全努力は、今後も拡大・多様化すると見られる。しかし、生態系表現や管理の有効性の不足が続き、生物多様性の喪失を食い止める上で地域ベースの保全が果たし得る役割は減少している。本論文では、2010年以降の各国政府による保護地域の拡大が、生物多様性のさまざまな要素[生態地域、1万2056種の絶滅危惧種、「生物多様性保全のカギとなる地域(KBA)」、原生自然地域]、ならびに生態系サービス(生産性の高い漁業、陸地と海洋における炭素サービス)の範囲を増大させる試みにおいて限定的な成功しか収めていないことを示す。2020年以降の成果を高めるには、世界的な生物多様性目標(絶滅の阻止から最も手付かずの生態系の保持まで多岐にわたる)の達成に向けて、地域ベースの保全によるより効果的な寄与が必要で、生物多様性の保全の成功において極めて重要な多くの先住民、地域社会集団、民間イニシアチブとさらに協力していくことも必要である。地域ベースの保全の長期的な成功には、生物の多様性に関する条約(CBD)の締約国が、十分な資金を確保し、気候変動に備えるとともに、陸域、陸水域、海域の管理政策における生物多様性保全の位置付けをより強力なものにしていく必要がある。

