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神経科学:視床下部の新情報信号が海馬の記憶を調節する

Nature 586, 7828 doi: 10.1038/s41586-020-2771-1

過去に体験していない情報を認識する能力は、生存に不可欠である。そのために哺乳類の脳は、新しく入ってくる信号が注意や知覚そして記憶を増強する仕組みを発達させてきた。腹側被蓋野や青斑核などの脳領域が、新しい刺激を広く受けとめ伝えるために重要な役割を果たしていることはよく知られているが、これらの広汎なモノアミン作動性伝達物質が、それらを駆動する特定のタイプの刺激情報を運ぶことはまだ明らかになっていない。例えば、文脈的刺激や社会的刺激などの異なるタイプの新しい刺激情報が、脳内で個別に処理されて送られているのかどうかは分かっていない。今回我々は、乳頭体上核(SuM)が、視床下部で新しく入ってきた情報のハブとして働いていることを突き止めた。SuMは独特な部位で、新しい刺激を幅広く感受するばかりでなく、記憶処理を調節するためにタイプの異なる情報を選別し、皮質と個別につながる海馬歯状回と海馬CA2野にそれぞれの情報を送っている。今回の研究では、SuM-Creという新しい遺伝子改変マウス系統を用いて、歯状回に投射するSuMニューロンが文脈的新刺激に反応し、一方SuM–CA2神経回路が新しい社会的刺激との出合いによって優先的に活性化することを明らかにした。神経回路を利用した遺伝子操作を使って投射経路ごとに分離することで、新しい刺激に関わる経路が海馬での文脈的・社会的記憶をそれぞれ調節していることが示された。新しい刺激信号のコンテンツに対して特異的な経路選択が起こるという今回示された内容は、認知に関する特定の成分の選択を視床下部が柔軟に調節できるという従来知られていなかった機構を示している。

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