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化学:不斉ニッケル触媒反応を用いる過渡的な環状アレンの捕捉

Nature 586, 7828 doi: 10.1038/s41586-020-2701-2

アライン、環状アルキン、環状アレンなどのひずんだ環状有機分子は、構造が特異で化学反応性が高く、1世紀以上にわたって化学者たちの関心を引き続けてきた。こうした過渡的な中間体の特徴である大きな環ひずみ(30〜50 kcal mol−1)は、付加環化や求核捕捉をなどの多くの反応に高い反応性を付与し、構造的に複雑な生成物を生じさせることが多い。こうした反応の絶対立体化学を制御する戦略として、化学量論的なキラル試薬を用いたものが報告されているが、エナンチオリッチな生成物を生じる触媒的な不斉反応戦略の実現はいまだ困難である。今回我々は、触媒的不斉反応におけるラセミ環状アレン中間体の捕捉について報告し、そうした変換において絶対立体化学を制御する2つの異なる機構、すなわち、アレンエナンチオマーの速度論的区別と、中間体であるπ-アリルニッケル錯体の非対称化の証拠を提示する。計算機研究の結果から、最初に立体選択的オレフィン挿入を通した環状アレンエナンチオマーの速度論的区別が起こり、その結果生じる立体化学情報が喪失して、その後π-アリルニッケル錯体中間体の非対称化を通して絶対立体化学の導入が起こる、という触媒機構が示唆された。これらの結果は、これまでに報告された従来型の付加環化や求核捕捉以外にも、環状アレンに利用できる反応性が存在することを明らかにしており、これによって、この種の中間体から得られる生成物の種類が拡張された。さらに、今回の計算機研究の結果は、環状アレンの反応において立体制御を可能にし得る2つの戦略を示唆している。まとめるとこれらの結果は、以前は扱いが避けられてきたこれらのひずんだ中間体が関与する触媒的不斉反応開発の基礎となるものである。

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