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細胞シグナル伝達:Na+はミトコンドリア呼吸鎖による低酸素シグナル伝達を制御する

Nature 586, 7828 doi: 10.1038/s41586-020-2551-y

全ての後生動物は、ミトコンドリアの酸化的リン酸化系(OXPHOS)によるO2の消費に依存してエネルギーを産生している。さらに、OXPHOSはO2を用いて、細胞適応を促進し得る活性酸素種を産生する。この現象は低酸素状態で起こるが、その機構の詳細は分かっていない。Ca2+はセカンドメッセンジャーとして働くイオンとして最もよく知られているが、Na+は、膜電位のメディエーターして働くことしか知られていない。今回我々は、Na+がセカンドメッセンジャーとして働き、ミトコンドリア内膜の流動性を変化させて、OXPHOSの機能と活性酸素種の産生を調節していることを明らかにする。急性の低酸素状態では、ミトコンドリア複合体Iのコンホメーション変化によって、マトリックスの酸性化と、リン酸カルシウム(CaP)沈着物からの遊離Ca2+の放出が促進される。すると、同時にミトコンドリアのNa+/Ca2+交換輸送体が活性化され、マトリックス内へのNa+の流入が促進される。Na+はリン脂質と相互作用してミトコンドリア内膜の流動性を低下させ、遊離ユビキノンが複合体IIと複合体IIIの間を移動するのを抑制するが、超複合体内部での移動は妨げない。その結果、複合体IIIでスーパーオキシドが産生される。Na+/Ca2+交換輸送体を介したNa+流入の阻害は、この経路を遮断するのに十分で、低酸素状態への適応を妨げる。これらの結果から、Na+はリン脂質との予想外の相互作用を介してOXPHOSの機能と酸化還元シグナル伝達を制御しており、細胞の代謝に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。

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