天文学:白色矮星をトランジットする巨大惑星候補天体
Nature 585, 7825 doi: 10.1038/s41586-020-2713-y
太陽系外には数千個の惑星が発見されており、その大半は、最終的に赤色巨星そして白色矮星へと進化する恒星の周りを軌道運動している。赤色巨星段階では、恒星の近くを軌道運動している惑星は全てその恒星に飲み込まれることになるが、より遠方に位置する惑星はこの段階を生き残り、白色矮星の周辺の軌道上に残る可能性がある。いくつかの白色矮星では、その大気中や温かなデブリ円盤内に浮遊していたり、非常に近くを軌道運動したりしている岩石質物質の証拠が示されており、これは内側に向かって散乱され潮汐破壊を受けた岩石質惑星の残骸であると解釈されている。最近、組成が巨大氷惑星に似たガスのデブリ円盤の発見によって、大質量の惑星も白色矮星に近い軌道へ進入できる可能性が明らかになったが、こうした惑星がその旅程を生き残り得るかどうかは分かっていない。これまで、白色矮星に近い軌道にある破壊されていない惑星は発見されていなかった。本論文では、白色矮星WD 1856+534(TIC 267574918)を1.4日ごとにトランジットする巨大惑星候補天体を観測したことについて報告する。我々は、軌道上で白色矮星の前面を惑星候補天体が通過することによって生じる、白色矮星の周期的な減光を観測し、モデル化した。この惑星候補天体のサイズは木星とほぼ同じで、質量は木星の14倍未満(信頼水準95%)である。近接した褐色矮星または伴星を伴う白色矮星という他の事例は、共通外層進化の結果として説明され、その場合、伴星のもともとの軌道が赤色巨星段階の恒星の大気に覆われ、摩擦によって収縮する。しかし今回の事例では、惑星候補天体の軌道周期は(近接した褐色矮星または伴星を伴う白色矮星と比較して)長く、質量は小さいため、共通外層進化の結果では説明が難しい。WD 1856+534系に関する今回の知見は、むしろ巨大惑星が潮汐破壊を受けることなく、近い軌道に散乱され得ることを示唆しており、これは、白色矮星周囲をトランジットするより小さな惑星を探す動機付けとなる。

