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ナノスケール材料:ショウジョウバエの角膜のナノ被覆層のリバースエンジニアリングとフォワードエンジニアリング

Nature 585, 7825 doi: 10.1038/s41586-020-2707-9

昆虫の眼には反射防止被覆層があり、その機能は、空気とレンズの間に屈折率の勾配を生じさせる角膜表面のナノ構造に起因する。こうしたナノ被覆層には、付着防止機能があることも示されている。節足動物の角膜ナノ被覆層の形態は非常に多様であり、乳頭様の突起構造が組織化して規則的配列を成す場合や、融合して畝状の構造を形成する場合がある。この多様性は、アラン・チューリングによって提唱された反応拡散機構とパターン形成の原理(これらは無数の生物学的環境で応用が見られる)に帰属させることができる。昆虫の角膜のナノ被覆層は、そうしたチューリングパターンの一例であると共に、既知で最初のナノスケールのチューリングパターンの例である。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)の角膜ナノ被覆層の形態と機能の間の明確な関係性を実証する。個々の突起からなるナノ被覆層にはより優れた反射防止特性がある一方、部分的に融合した構造にはより優れた付着防止特性があることが見いされた。我々は、生化学的解析と遺伝子改変技術を用い、ナノ被覆層の構成要素としてタンパク質のレチニンと角膜ワックスのリバースエンジニアリングを行った。チューリングパターンとの関連において、これらの構成要素は、それぞれ活性因子と抑制因子としての役割を果たす。次に我々は、レチニンの低コスト生成法を確立し、この合成タンパク質とワックスを混ぜて、昆虫のものに似た形態と付着防止機能や反射防止機能を持つさまざまな人工ナノ被覆層のフォワードエンジニアリングを行った。このように、今回のリバースエンジニアリングとフォワードエンジニアリングを組み合わせる手法によって、生分解性材料から機能性ナノ構造被覆層を経済的に作製する方法が得られる。

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