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腫瘍生物学:多層上皮の機械的特性は腫瘍の構造と機能を方向付ける

Nature 585, 7825 doi: 10.1038/s41586-020-2695-9

正常な組織構造の喪失は、発がん性形質転換の特徴である。発生中の生物では、組織の構造は形態形成の間に機械的力によって作り出される。しかし、腫瘍形成の際の組織構造の起源と帰結については、まだ分かっていない。皮膚では、前がん性の基底細胞がんは、簇出によって「芽」を形成するが、浸潤性の扁平上皮がんは折りたたみによる「ひだ」として形成が開始される。本研究では、計算論的モデル化、遺伝学的操作と生物物理学的計測を用いて、このような腫瘍構造の生物物理学的基盤と生物学的帰結を明らかにした。単層上皮では、細胞増殖とアクトミオシンの収縮性が組織構造を支配するが、多層上皮ではそういうことはない。一方、層化した表皮では、基底膜の軟化や盛んな再構築が腫瘍の簇出を促進するが、基底膜の硬化は折りたたみを促進する。また、さらなる重要な力が、前駆細胞の層化と分化から生じる。発がん性病変が悪性化していくにつれて、腫瘍特異的な基底上層の剛性勾配が生じ、これは腫瘍基底膜上の伸張性張力を変化させることが計算的に予測された。この予測がもたらす病態生理学的波及効果は甚大である。基底膜の剛性を遺伝学的に低下させると、in silicoでは膜の張力が増大し、in vivoでは浸潤性の扁平上皮がんの進行が促進された。我々の知見は、多層上皮の前駆細胞の上と下から加えられる機械的力が、前悪性腫瘍の構造を形作るように機能し、腫瘍の進行に影響することを示唆している。

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