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ヘルスケア:中国におけるCOVID-19封じ込めのための非医薬品介入の効果
Nature 585, 7825 doi: 10.1038/s41586-020-2293-x
2020年3月11日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック(世界的大流行)であると宣言した。中国でアウトブレイク(集団発生)の封じ込めに用いられた非医薬品介入に基づく戦略は効果的だったと考えられているが、非医薬品介入の有効性やそのタイミングを評価するには、なお定量的な研究が必要である。今回我々は、COVID-19の疫学データと人の移動に関する匿名化データを用いて、日常的な移動のネットワークにより中国全土でのアウトブレイクと介入に関するさまざまなシナリオをシミュレーションするモデル化の枠組みを開発した。2020年2月29日時点の中国本土のCOVID-19総症例数は、11万4325例(四分位範囲は7万6776~16万4576例)と推定された。非医薬品介入がなければ、2020年2月29日には症例数が67倍(四分位範囲は44~94倍)に上っていたと推測され、介入ごとに有効性は異なることが明らかになった。症例の早期発見と隔離は、移動制限や接触削減よりも感染を予防したが、複数の非医薬品介入の組み合わせによって最も大きくかつ最も早い効果が得られたと推測された。我々のモデルによると、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保という介入が維持できていれば、個人間接触の削減が平均25%と限定的なレベルで4月後半まで続いたとしても、2020年2月17日以降の移動制限の解除は中国全土での症例数増加につながらなかった。以上の知見はCOVID-19に対する非医薬品介入の影響の理解を進展させるものであり、世界各地の対応努力に有用な情報になると考えられる。