神経科学:外側眼窩前頭皮質による感覚皮質の価値誘導性再マッピング
Nature 585, 7824 doi: 10.1038/s41586-020-2704-z
適応行動は柔軟な意思決定に強く依存しており、哺乳類では前頭皮質、特に眼窩前頭皮質(OFC)がこれに関与している。OFCが決定を下すための変数群をどのように符号化し、感覚領域に指示を与えて適応行動を導くかは、重要だが未解明の問題である。今回我々は、頭部を固定したマウスのための逆転学習課題を開発し、2光子カルシウム画像化法で外側OFCのニューロン活動をモニターして、OFCが一次体性感覚皮質(S1)とどのように動的に相互作用しているかを調べた。マウスは「進行」と「停止」の触覚刺激を識別するよう学習した後、刺激–報酬随伴性の逆転(「ルール切替」)時に行動を適応させることを学習した。個々のニューロンの活動を、全行動相にわたって経時的に画像化したところ、S1と外側OFCは特定の関与をしていることが分かった。S1神経活動は最初の課題学習を反映するのに対し、外側OFCニューロンはルール切替に対し強く一過的に応答していたのである。外側OFCからS1に向かう長距離投射も明らかになり、この投射は価値予測エラーとしてこの活動をS1にフィードバックできる。このトップダウン信号が、報酬履歴に敏感なニューロン亜集団で応答を機能的に再マッピングすることにより、S1の感覚表現を更新する。外側OFCニューロンを化学遺伝学的に抑制すると逆転学習が阻害されるため、この機能的再マッピングは、S1ニューロンの可塑性と同様に、このトップダウンフィードバック信号に決定的に依存している。従って、外側OFCと感覚皮質の動的相互作用は、履歴依存的でエラーに基づいた価値予測に重要な計算を行っており、柔軟な意思決定に不可欠な可塑性を生み出している。

