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がん代謝:ミトコンドリアでのユビキノール酸化は腫瘍増殖に必須である

Nature 585, 7824 doi: 10.1038/s41586-020-2475-6

ミトコンドリアの電子伝達系(ETC)は腫瘍増殖に必須で、ETCの阻害は標的療法との併用で抗腫瘍効果を示すことが実証されている。さらに、ヒトの脳腫瘍や肺腫瘍では、ミトコンドリアによるロバストなグルコース酸化が見られる。しかし、機能的なETCがin vivoでの腫瘍増殖に必須である理由は分かっていない。ETCの機能は、ATP産生[つまり、酸化的リン酸化とトリカルボン酸(TCA)回路による代謝物の産生]と共役している。ミトコンドリアの複合体IとIIは、電子をユビキノンに供与することで、ユビキノールの生成と補因子であるNAD+とFADの再生を引き起こし、複合体IIIはユビキノールを酸化してユビキノンに戻す。ユビキノンはまた、ピリミジンのde novo合成に必須の酵素であるジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)の電子受容体としても働く。今回我々は、ミトコンドリア複合体IIIを欠くがん細胞では、腫瘍増殖が阻害されることを示す。この表現型は、同様にユビキノールをユビキノンに酸化する、カタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)のオルタナティブオキシダーゼ(AOX)を異所的に発現させると救済された。ミトコンドリア複合体IやII、DHODHの欠損は、ミトコンドリア複合体IIIを欠くAOX発現がん細胞で腫瘍増殖を低下させたことから、腫瘍増殖のための電子受容体としてのユビキノンの必要性が浮き彫りになった。また、ミトコンドリア複合体IIIを欠くがん細胞において、乳酸菌の一種であるLactobacillus brevis由来のNADHオキシダーゼ(LbNOX)を、ミトコンドリアあるいは細胞質ゾルに標的化して発現させNAD+の再生を可能にしても、腫瘍増殖は回復しなかった。これは、NAD+の再生は、in vivoで腫瘍増殖を駆動するには十分でないことを示唆している。まとめると今回の知見は、腫瘍増殖にETCが必要なのはユビキノールを酸化するためで、これが酸化的TCA回路とDHODH活性の駆動に必須であることを示している。

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