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気候科学:バタフライ効果と地球温暖化に対するエルニーニョの自己変調する応答

Nature 585, 7823 doi: 10.1038/s41586-020-2641-x

エルニーニョ南方振動(ENSO)と総称されるエルニーニョとラニーニャは、非常に重要であるだけでなく、強非線形でもある。例えば、赤道東太平洋で発生するエルニーニョの最大温暖異常は、赤道中央太平洋を中心とするラニーニャの最大寒冷異常よりも大きい。関連する大気の非線形熱減衰は、エルニーニョの期間には赤道太平洋を寒冷化するが、ラニーニャの期間にはこの海域を温暖化する。気候モデルからは、地球温暖化の下で強いエルニーニョ事象とラニーニャ事象の発生頻度が増大すると予想されているが、こうした変化の度合いはモデル間で大きく異なる。その原因の一部は、内部変動にあるとされている。本論文では、バタフライ効果のように、同一の初期条件に対する微小なランダム摂動によって大きく異なるENSOの初期変動が誘発され、これが100年後の地球温暖化に対する応答に系統的な影響を及ぼすことを示す。初期変動をより大きくした実験では、ENSO熱減衰による海洋の累積熱損失がより大きくなり、これが赤道太平洋上層の成層を弱めて、次の地球温暖化でのENSO変動の増大を小さくした。こうした自己変調機構は、それぞれが同一の初期条件で始まるがバタフライ摂動を伴う2つの異なるモデルを用いて生成された、2つの大きなアンサンブルにおいて働く。この機構はまた、異なる初期条件で始まる別のモデルで生成された大きなアンサンブルや、結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP)の多様な気候モデルにおいても働く。従って、地球温暖化によって生じるENSOの変動の増大が、内部変動によって初期に抑制されるのであれば、将来のENSOの変動は増強される可能性が高く、その逆も同様である。時間を超えてENSOの変動を結び付けるこの自己変調は、変化する気候における複数の時間スケールのENSOの変動のダイナミクスを理解するための別の視点を提示している。

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