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腫瘍生物学:リンパ液は転移中の黒色腫細胞をフェロトーシスから守る
Nature 585, 7823 doi: 10.1038/s41586-020-2623-z
黒色腫細胞などのがん細胞は、血液を介して全身に転移する前に、リンパ系を介して局所的に転移することが多いが、この理由は分かっていない。今回我々は、リンパ液中の黒色腫細胞は、血液中の黒色腫細胞よりも、酸化ストレスが少なく、より多くの転移性腫瘍を形成することを示す。患者由来の黒色腫を有する免疫不全マウス、およびマウス黒色腫を有する正常な免疫能を持つマウスでは、腫瘍から流出する血液よりも、腫瘍から流出するリンパ液においてマイクロリットル当たりの黒色腫細胞数が多かった。血液を介して転移した細胞はフェロトーシス阻害因子のGPX4に対して依存的になったが、リンパ液を介して転移した細胞にそうした依存は見られなかった。フェロトーシスの化学阻害剤で前処理された細胞は、非処理細胞よりも、静脈内注入後に多くの転移性腫瘍を形成したが、リンパ管内注入では差がなかった。リンパ液と血漿の間には、リンパ液ではグルタチオンやオレイン酸のレベルが高くて遊離鉄が少ないなど、リンパ液での酸化ストレスやフェロトーシスの低下に関与する可能性のある多くの差異が観察された。オレイン酸はAcsl3依存的に黒色腫細胞のフェロトーシスを防ぎ、黒色腫細胞が転移性腫瘍を形成する能力を高めた。リンパ節由来の黒色腫細胞は、皮下腫瘍由来の黒色腫細胞よりもフェロトーシス抵抗性が高く、静脈内注射後により多くの転移性腫瘍を形成した。従って、リンパ環境への曝露は黒色腫細胞のフェロトーシスを防ぎ、血液を介したその後の転移における生存能力を高めている。

