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化学:単分子スイッチをコヒーレントに制御するサブサイクルの原子スケールの力
Nature 585, 7823 doi: 10.1038/s41586-020-2620-2
走査型プローブ法は、原子レベルで精密な力を利用して、物質の表面を単原子単位で加工できる。こうした力を準静的に印加して表面構造を形成したり化学過程に影響を与えたりすることが行われてきたが、局所的なダイナミクスを利用した原子スケールでのコヒーレントな制御の実現は興味深い可能性として残されている。これまでに、化学反応、コンホメーション変化、脱離が超高速時間スケールで追跡されてきたが、フェムト秒の力を個々の原子に直接印加して選択的に分子運動を誘起することはまだ実現されていない。今回我々は、原子レベルで鋭い探針に閉じ込められたテラヘルツ波の近接場が、フェムト秒の原子スケールの力をもたらし、この力が双安定なマグネシウムフタロシアニン分子の分子骨格においてコヒーレントな束縛回転を選択的に誘起することを示す。光波駆動走査型トンネル顕微鏡法と超高速作用分光法を組み合わせることで、誘起された回転が、2つの安定吸着構造間の分子スイッチングの確率を最大39%変調させることが見いだされた。分子の応答を空間的・時間的にマッピングしたところ、生じた力が原子スケールかつ光サイクル未満(すなわち、光搬送波の振動周期よりも速い)で作用することが確認された。我々は、最終的には今回の戦略によって、単一分子内や固体内における個々の原子のコヒーレント操作が可能になり、化学反応や超高速相転移をそれらに固有の時空間スケールで操作できるようになると予想する。

