細胞生物学:神経血管連関を調節する周皮細胞間トンネルナノチューブ
Nature 585, 7823 doi: 10.1038/s41586-020-2589-x
神経血管ユニットにおける細胞間シグナル伝達、つまり神経血管連関は、神経活動と局所血流を合致させるのに不可欠である。周皮細胞は血管内皮細胞と相互作用し、毛細血管を包むように突起を伸ばして、その表面積の最大90%を覆っている。周皮細胞は毛細血管に沿って戦略的に配置されており、収縮タンパクを含有し、神経刺激に素早く応答することから、微小循環血流を調節すると目されているが、微小血管の動態と毛細血管ネットワーク内での神経血管連関とを同期させているかどうかは分かっていない。今回我々は、マウス網膜で、別々の毛細血管系上にある2つの真正周皮細胞を連結して機能的ネットワークを形成しているナノチューブ状の突起の存在を明らかにし、これを周皮細胞間トンネルナノチューブ(IP-TNT)と名付けた。我々はこれらのIP-TNTが、1)開口した近位部と、ギャップ結合を介して遠位の周皮細胞突起と連結する閉口した終末部(終足)を有し、2)これらの突起に沿って移動できるミトコンドリアなどの細胞小器官を運搬し、3)細胞間でCa2+波を伝播する経路として作用して周皮細胞間のコミュニケーションを仲介することを示す証拠を提示する。2光子顕微鏡ライブ画像化法を用いることで、網膜周皮細胞がIP-TNTに依存して局所的な神経血管連関を制御し、隣接する毛細血管間で光応答を協調させていることが実証された。破壊や網膜虚血によってIP-TNTが損傷すると、細胞間Ca2+波の伝播が妨げられ、血流調節や神経血管連関が阻害された。注目すべきことに、虚血前の薬理学的なCa2+流入の阻害はIP-TNTを保護して、毛細血管の光応答を救済し、再灌流後の血流を回復させた。今回の研究によって、IP-TNTが定義付けられるとともに、生理的および病理的な状況下の生体網膜で、IP-TNTが神経血管連関に果たす重要な役割が明らかになった。

