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細胞シグナル伝達:グリピカンはWntの脂質部位を遮蔽して離れた場所でのシグナル伝達を可能にする
Nature 585, 7823 doi: 10.1038/s41586-020-2498-z
モルフォゲンは組織内で拡散して組織修復や発生中の細胞運命指定を統御するシグナル伝達分子で、こうしたモルフォゲンとして作用すると示唆されているタンパク質は比較的少ない。その一群がWntタンパク質で、これらはシグナル伝達活性に不可欠なパルミトレイン酸部位を有する。しかし、こうした疎水性リポタンパク質が、水性の細胞外空間で拡散できる仕組みは分かっていない。このいわゆるWntの溶解性問題を解決する方法としては、リポタンパク質粒子やエキソソーム、特定のシャペロンが関与するものなど、いくつかの機構が提案されてきた。今回我々は、これらのモデルに対する反証を示し、Wntの脂質は、Dlp(Dally-like protein)によって定義されるグリピカンのサブクラスのコアドメインにより遮蔽されていることを明らかにする。構造解析から、パルミトレオイル化されたペプチドが存在すると、これらのグリピカンはコンホメーションを変化させて疎水性空間を作り出すことが分かった。このように、DlpファミリーのグリピカンはWntタンパク質の脂質を水性環境から保護し、Wntタンパク質をシグナル伝達受容体に引き渡すことのできるリザーバーとして働いている。

