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免疫学:HDAC3活性の二面的な発揮が炎症応答を支配する
Nature 584, 7820 doi: 10.1038/s41586-020-2576-2
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)はクロマチン修飾酵素のスーパーファミリーの1つで、ヒストン修飾を介して転写を抑制する。その中でもHDAC3は、触媒活性を発揮するためにNCoR(nuclear receptor corepressor)1/2との結合を必要とするという点で独特である。しかし、HDAC3が全体的に失われても転写の抑制が起こり、その仕組みはまだ解明されていない。今回我々は、リポ多糖によるマクロファージの活性化の際に、HDAC3がNCoR1/2なしにATF2(activating transcription factor 2)結合部位に誘導され、非カノニカルな機構によって炎症性遺伝子の発現を活性化することを報告する。これに対して、HDAC3の脱アセチル化酵素活性はATF3結合部位で選択的に発揮され、Toll様受容体シグナル伝達を抑制する。マクロファージでHDAC3を喪失させると、マウスはリポ多糖への致死的な曝露から守られたが、HDAC3の触媒活性を遺伝学的あるいは薬理学的に失わせても、このような保護効果は得られかった。これらの知見は、HDAC3は転写アクチベーターであり転写リプレッサーでもあるという二面性を持ち、自然免疫系に必須とされる脱アセチル化酵素非依存的な非カノニカル機能があることを示している。

