気候科学:熱と炭素の結合によって明らかになった、循環の変化に起因する海洋温暖化
Nature 584, 7820 doi: 10.1038/s41586-020-2573-5
全球表面の人為起源の温暖化は累積炭素排出量に比例し、この関係は、部分的には海洋による熱と炭素の取り込みと貯蔵によって決まる。海洋の熱と炭素の貯蔵の速度とパターンは、混合や大規模循環などの海洋輸送の影響を受ける。しかし、既存の気候モデルは海洋温暖化について観測されているパターンを正確に捉えておらず、海洋循環や海洋による熱の取り込みの予測はモデルごとに大きく異なっている。さらに、海洋循環の変化(具体的には、分解された移流による熱の再分配)の、海洋温暖化について観測されているパターンとシミュレーションで得られたパターンへの影響を評価するのは、いまだに困難である。今回我々は、人為起源の排出に応答した、海洋の熱と炭素の取り込みの間の線形関係を立証する。この関係は主に、地球システムの固有のパラメーター、つまり、海洋の炭素緩衝能、二酸化炭素の放射強制力、海洋の炭素インベントリーによって決定される。我々はこの関係を用いて、観測結果と、第5次結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP5)の地球システムモデルの両方において、二酸化炭素強制による海洋循環の変化の海洋温暖化パターンへの影響を明らかにする。我々はまた、過去の海洋温暖化のパターンは海洋の熱再分配によって形作られており、これはCMIP5モデルでは十分にシミュレートされないことを示す。一方、予測される熱の貯蔵のパターンは主に、産業革命以前の海洋循環(および分解されていない海洋過程の小さな変化)、つまり循環の変化による海洋温暖化ではなく、過剰な大気の熱の海洋取り込みで加わった熱のパターンによって決まることが見いだされた。気候モデルは、熱再分配と比べて、産業革命前の循環による海洋の熱貯蔵のシミュレーション能が優れており、これは、気候が温暖化するにつれて、海洋の温暖化パターンがより予測しやすくなる可能性を示唆している。

