生態学:生態系の劣化が生息地の消失による生物多様性の喪失を悪化させる
Nature 584, 7820 doi: 10.1038/s41586-020-2531-2
人新世において、生息地の消失は生物多様性の喪失につながる大きな要因だが、生息地の消失が正確にはどのように表れ、その規模がどの程度なのかは、今なお重要な議論となっている。「受動的抽出(passive sampling)」仮説では、生物種は、自然生息地におけるそれらの個体数および分布に比例して失われるとされるのに対し、「生態系劣化(ecosystem decay)」仮説では、より小さく孤立した生息地における生態学的過程の変化により、単純に生息地の消失のみから予測されるより多くの種が失われるとされている。これら2つの仮説の一般化可能な検証は、サンプリング設計が不均一で、規模に大きく依存する種の豊富さの見積もりに焦点が絞られていたために、限界があった。今回我々は、さまざまなサイズの多数の生息地断片から得た、重要な複数のタクソンの集団レベルの個体数に関する123件の研究結果を分析し、受動的抽出と生態系劣化がそれぞれ生物多様性の喪失に及ぼす影響を評価した。その結果、全体として生態系劣化仮説が支持されることが明らかになった。調査努力量を考慮に入れると、全ての研究、生態系、タクソンにわたり、より小さな生息地断片に由来する生物多様性の見積もりでは、より大きな断片のサンプルに由来する予想と比べて、個体数と種数は少なく、群集の均一性は低かった。しかし、一部の研究(例えば、生息地が消失してから100年以上が経過している場合など)では、手付かずの生息地には本来存在しなかった種による組成的な置換の結果として、生態系劣化に起因する生物多様性の喪失は全体的パターンからの予測を下回っていた。我々は、生息地の消失が生物多様性の変化に及ぼす非受動的な影響を組み入れることで、将来の土地利用における生物多様性のシナリオを改良し、生息地の保全および回復の計画を改善できると結論する。

