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構造生物学:不活性状態にあるヒトGABAB受容体の構造
Nature 584, 7820 doi: 10.1038/s41586-020-2452-0
Gタンパク質共役受容体(GPCR)のクラスCファミリーの一員であるヒトGABAB受容体は、抑制性神経伝達を仲介し、てんかんや疼痛、嗜癖に関係するとされてきた。GABAB受容体は、機能するのにヘテロ二量体化を必要とすることが知られている珍しいGPCRで、GABAB1とGABAB2の2つのサブユニットを持つ。これらのサブユニットは構造的には相同だが、異なる相補的な機能を果たしている。GABAB1はオルソステリックリガンドを認識するのに対し、GABAB2はGタンパク質と共役する。各サブユニットは、1個の細胞外VFT(Venus flytrap)モジュール、下行するペプチドリンカー、7回膜貫通ドメイン、細胞質側の尾部を特徴とする。VFTヘテロ二量体構造は解像されているが、完全長受容体の構造と膜を通過するそのシグナル伝達の機構はまだ分かっていない。今回我々は、不活性状態で捕捉されたGABAB受容体の完全長に近い構造を、クライオ電子顕微鏡法によって示す。得られた構造から、受容体とあらかじめ結合している複数のリガンドが明らかになった。それらには、膜貫通ドメイン中に埋め込まれた2つの大きな内在性リン脂質が含まれ、これらは受容体構造の保全と受容体機能の調整に関わっている。また、これまで知られていなかったヘテロ二量体界面で、両方のサブユニットの膜貫通ヘリックス3と5の間にあるものが見つかった。これは不活性なコンホメーションの特徴となる。この膜貫通界面中にある独特な「サブユニット間ラッチ(掛け金)」によって不活性状態が維持され、ラッチが崩壊すると構成的な受容体活性化が引き起こされる。

