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原子物理学:トンネリングしている原子が障壁領域内で費やす時間の測定
Nature 583, 7817 doi: 10.1038/s41586-020-2490-7
トンネリングは、量子物理学の最も特徴的な現象の1つであり、光合成や核融合などの過程だけでなく、超伝導量子干渉素子(SQUID)磁力計から量子コンピューターに使う超伝導キュービットまで、さまざまなデバイスの基礎となっている。しかし、粒子が障壁をトンネリングするのにどれだけの時間かかるのかという疑問は、それを計算する最初の試み以来、依然として議論を呼んでいる。現在、群遅延(通過する波束のピークが障壁の反対側に到達するのにかかる時間)が、因果律を破ることなく、障壁の厚さを光速度で割った値より小さくなり得ることはよく理解されている。これは多くの実験によって確認されており、最近の研究では、トンネリングには全く時間がかからない可能性も主張されている。また、特定の粒子が障壁領域で費やす時間をよりよく記述できると思われる異なる時間スケールを見いだす取り組みも行われてきた。今回我々は、厚さ1.3 μmの光学障壁を通ってトンネリングするボース凝縮した87Rb原子を調べることで、トンネリングにかかる時間を直接測定した。我々は、障壁内部に疑似磁場を局在させることによって、古典的には禁止される領域を原子が横切るのに必要な時間を、原子のスピン歳差を時計として使って測定した。この横断時間の入射エネルギーへの依存性を調べた結果、トンネリングを観測できる最低エネルギーにおいて0.61(7) msという値が見いだされた。今回の実験によって、量子力学における履歴に関する基本的な問題に取り組む基礎が築かれた。例えば、粒子が現在存在する位置を観測することによって、粒子が以前に存在した位置を知ることができる。

