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材料科学:ヒトのエナメル質微結晶における化学勾配

Nature 583, 7814 doi: 10.1038/s41586-020-2433-3

エナメル質は歯の主要構成組織であり、大きなそしゃく力、機械的疲労、摩耗に数十年にわたって耐えるよう進化してきた。発育障害や虫歯(カリエス)による歯のエナメル質の機能障害や欠損は、健康や生活の質に影響を及ぼすとともに、社会への負担を伴う。この10年間で、エナメル質形成や成熟エナメル質の機能特性に関する理解が進んだものの、この組織の病変部の修復やin vitroでの合成の試みはあまり成功していない。その一因は、エナメル質の高度に階層的な構造や、化学勾配に起因する付加的な複雑さにある。今回我々は、原子スケールの定量的画像化法と相関分光法を用いて、エナメル質の基本的構成要素であるヒドロキシアパタイト(Ca5(PO4)3(OH))のナノスケールの微結晶には、ナトリウムイオン、フッ化物イオン、炭酸イオンに富むコアがあり、これがマグネシウムに富む2つのナノメートル層に挟まれていて、このサンドイッチ型コアはより置換型欠陥濃度の低いシェルに囲まれていることを示す。密度汎関数理論モデル計算とX線回折データに基づく力学モデルから、残留応力はこの化学勾配に起因して生じることが予測され、これは、酸性媒質中で微結晶のコアが優先的に溶解することと一致する。さらに、応力は、エナメル質の機械的復元力に影響を及ぼす可能性がある。今回新たに明らかになった階層構造の2つの層は、エナメル質形成時の結晶成長の生物学的制御に関する新たなモデルの可能性を示すとともに、歯の発生時のバイオマーカーの保存への影響を示唆している。

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