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光物理学:光の分岐流の観測
Nature 583, 7814 doi: 10.1038/s41586-020-2376-8
波が、波長よりも相関長の長い弱い不規則ポテンシャルの中を伝播すると、強度が増した複数のチャネル(分岐)が形成され、これらのチャネルは波が伝播するにつれて分岐し続ける。この基本的な波動現象は、分岐流(branched flow)と呼ばれている。分岐流は、電子で初めて観測され、マイクロ波共振器でも観測されており、一般的に非常にさまざまな波長の波で起こると予想されている。例えば、分岐流は、海洋波の集束機構として提案されている他、音波やグラフェンにおける超相対論的電子でも生じると示唆されている。分岐流は、極端な非線形事象を形成する引き金となったり、散乱媒質においてエネルギーを伝えるチャネルとして働いたりする可能性がある。今回我々は、光の分岐流を実験的に観測したことについて報告する。光が薄いせっけん膜の内部を伝播すると、膜厚の滑らかな変動が相関不規則ポテンシャルとして働き、光が、分岐流の特徴(第一分岐点までの距離のスケーリングや強度の確率分布)を示すフィラメントに集束することが明らかになった。媒質のランダムな変動やこの効果の線形性にもかかわらず、フィラメントが、直観に反して経路全体にわたり平行のままであることが見いだされた。分岐流を光学分野に導入すれば、既存の多くのツールとの併用により、非線形媒質、曲がった空間、利得のあるアクティブシステムにおける分岐流など、多くの新しいアイデアを調べる扉が開かれる。さらに、せっけん膜の変化しやすい性質は、光の分岐流が相互作用し、放射圧や勾配力を通してその根底にある不規則性に影響を及ぼす領域につながる。

