Article

神経科学:霊長類下側頭皮質に構築されるオブジェクト空間のマップ

Nature 583, 7814 doi: 10.1038/s41586-020-2350-5

下側頭(IT)皮質は、物体認識を担っているが、視覚対象の神経表現がこの脳領域でどのように編成されているかは未解明である。顔、体、情景のようなカテゴリー選択的な領域が見つかってはいるが、IT皮質の大部分には既知の特異化は見られず、ITの編成にどのような一般原理が働いているのかという疑問が生じる。今回我々は、機能的MRI、微小刺激、電気生理およびディープネットワークを用いて、アカゲザルのIT皮質の編成を調べた。我々はまず、対象の分類を学習したフィードフォワードのディープニューラルネットワークを用いて、一般的な対象を表現する低次元オブジェクト空間を構築した。多数の対象を含むセットへのIT細胞の応答から、個々のIT細胞は、入力された対象を、この空間の特定の座標軸上に投射することが分かった。解剖学的には、細胞はその優先的座標軸の最初の2つの成分に従って4つのネットワークにクラスター化され、オブジェクト空間のマップを形成する。このマップは、徐々に眺めの不変性が増していく3つの階層的段階にわたって再現され、これらのマップを構成する細胞は、対象をほぼ再構築するのに十分な符号化能力を集団として備えていた。これらの結果から、ITの編成について、カテゴリー選択的な領域もオブジェクト空間の粗なマップの一部であり、それらの次元はディープネットワークから抽出可能であるという、統一的な全体像が得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度