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遺伝医学:肝臓のNADH還元ストレスが代謝形質におけるありふれた変動の根底にある

Nature 583, 7814 doi: 10.1038/s41586-020-2337-2

細胞のNADH/NAD+比は生化学にとって基本的なものだが、in vivoの代謝生理をどの程度反映し、どの程度動かしているのかは、ほとんど解明されていない。今回我々は、マウスにおいて、ラクトバチルス属細菌Lactobacillus brevisLb)のNOX(細菌の水生成型NADHオキシダーゼ)をin vivoで用いて、肝臓の細胞質ゾルNADH/NAD+比を直接的に低下させると、代謝にどのような影響が出るかを調べた。この遺伝学的ツールとメタボロミクスとを組み合わせることで、循環血中のα-ヒドロキシ酪酸レベルが、肝臓の細胞質ゾルNADH/NAD+比の上昇(還元ストレスとしても知られる)のロバストなマーカーだと分かった。ヒトでは、循環血中α-ヒドロキシ酪酸レベルの上昇は耐糖能異常、インスリン抵抗性、ミトコンドリア病と関連することがこれまでに報告されており、今回、ありふれたGCKR遺伝子バリアントとの関連が明らかになった。このバリアントは以前、一見すると全く共通点のない多くの代謝形質と関連付けられていたものである。我々は、LbNOXを用いて、GCKRの変動が、血中トリグリセリドレベル、耐糖能、FGF21レベルといったさまざまな代謝形質に対して及ぼす影響にNADH還元ストレスが関わっていることを実証した。この研究によって、肝臓のNADH/NAD+比の上昇がヒトの遺伝的変動によって形作られる潜在的な代謝パラメーターであり、重要な代謝形質や疾患に原因として関与することが明らかになった。また、LbNOXのような遺伝学的ツールの利用が「原因となる代謝」の研究を可能にすることが浮き彫りになった。

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