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構造生物学:ヒトのトリアシルグリセロール合成酵素の構造と触媒機構
Nature 581, 7808 doi: 10.1038/s41586-020-2289-6
トリアシルグリセロールは生物の代謝エネルギーを貯蔵する役割を担い、食品や燃料として産業利用されている。ヒトでは、トリアシルグリセロールの過剰な蓄積は肥満の原因であり、代謝疾患と関連付けられている。トリアシルグリセロールの合成は、アシルCoA:ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)が触媒するが、この酵素の構造と触媒機構はまだ解明されていない。今回我々は、クライオ電子顕微鏡によって、膜結合型O-アシル基転移酵素(MBOAT)ファミリーに属するヒトDGAT1二量体の構造を約3.0 Åの分解能で決定した。DGAT1はN末端部分と疎水性界面を介してホモ二量体を形成し、膜領域内に活性部位と推定される部分を持つ。基質であるオレオイルCoAと結合した、約3.2 Åの分解能で得られた構造によって、CoA部分はDGAT1の細胞質側に結合していてアシル基は疎水性チャネルの奥深くにあり、アシルCoAのチオエステル結合が、触媒部位の保存されたヒスチジン残基の近くに位置していることが明らかになった。反応中心は大きな空洞内部に位置し、この空洞は膜二重層に対して側面が開いており、このため脂質がそこから活性部位に接近できる。脂質に似た密度(おそらくアシル基受容分子を表している)が反応中心内部にあり、アシルCoAと直交していた。このDGAT1の構造から得られた知見を変異導入研究や機能研究と組み合わせることにより、DGATによるトリアシルグリセロール合成の触媒機構モデルの基盤が得られるだろう。

