医学研究:スタチン療法は腸内微生物相のディスバイオーシスを示す人の割合の低下と関連する
Nature 581, 7808 doi: 10.1038/s41586-020-2269-x
マイクロバイオーム群集タイピング解析により、最近Bacteroides2(Bact2)エンテロタイプが特定された。Bact2エンテロタイプは腸内微生物相構成の1つであり、全身性炎症と関連付けられており、ヒトの軟便で高率に見られる。Bact2は、バクテロイデス属(Bacteroides)の割合が高く、フィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)の割合が低く、微生物細胞密度が低いことを特徴とし、Bact2エンテロタイプの保有率は、一般集団コホートでの13%から、炎症性腸疾患患者での78%までさまざまである。肥満や共存する代謝性疾患へと進行する際には便の硬さや炎症状態が変化することが報告されているため、我々は、これらの進展が、ディスバイオーシスを引き起こす可能性のあるBact2エンテロタイプの保有率の増加とも同様に相関するのではないかと考えた。今回我々は、MetaCardisの横断的ボディーマス指数分布コホート(n = 888)の糞便の定量的メタゲノムにおいて、肥満に関連した微生物相の変化を調べることにより、スタチン療法がマイクロバイオームの多様化の主要な共変量であることを明らかにした。スタチンを投薬されていない被験者のサブコホートに着目したところ、Bact2エンテロタイプの保有率はボディーマス指数と相関があり、やせ型または過体重の被験者では3.90%だったが、肥満の被験者では17.73%に増加していることが分かった。Bact2エンテロタイプの被験者では、全身的炎症レベルは肥満状態に基づいて推測した数値よりも高く、これはBact2がディスバイオーシスを引き起こすマイクロバイオーム群であることを示している。また、肥満関連微生物相のディスバイオーシスはスタチン療法と負に関連しており、スタチンを服用した肥満被験者では、Bact2エンテロタイプの保有率は5.88%と低くなっていることが分かった。この知見は、付随するMetaCardis心血管疾患データセット(n = 282)と、独立したフランドル腸内細菌相プロジェクトの集団コホート(n = 2345)の両方で確認された。こうした状況でスタチンが有効である可能性については、前向き臨床試験でさらなる評価を行って、この効果が無作為化集団で再現されるかどうかを確認する必要があり、その後に微生物相調整療法としての応用を検討すべきだろう。

