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人類学:ブルガリア・バチョキロ洞窟で出土した後期旧石器時代初頭のホモ・サピエンス
Nature 581, 7808 doi: 10.1038/s41586-020-2259-z
ヨーロッパでは中期旧石器時代から後期旧石器時代への移行期において、在来のネアンデルタール人集団がアフリカ起源のホモ・サピエンス(Homo sapiens)集団に取って替わられ、部分的に吸収された。しかし、この過程はおそらく地域によって異なっていたと考えられ、その詳細はほとんど明らかにされていない。特に、両集団の時間的重なりの長さに関しては、それがネアンデルタール人とホモ・サピエンスの間の生物学的・文化的相互作用の実態に対して重要であることから、激しく議論されている。今回我々は、ブルガリアのバチョキロ洞窟における発掘調査で、後期旧石器時代初頭の人工物を伴うヒト族の遺骸を発見したこと、そしてそれらの遺骸の直接的な年代測定を行った結果を報告する。1本の歯の形態分析の結果と、複数のヒト族骨片についてプロテオームのスクリーニングを通して確認されたミトコンドリアDNAから、今回発見された遺骸がホモ・サピエンスのものであることが明らかになり、後期旧石器時代初頭の技術の広がりが、4万5000年前以前のホモ・サピエンスのユーラシア大陸中緯度域への進出と結び付けられた。今回の発掘調査では、後にヨーロッパ西部最後のネアンデルタール人によって作られたものに似た、ホラアナグマの歯製のペンダントなど、骨製の人工物が数多く出土した。これらの知見は、ホモ・サピエンスはヨーロッパに複数回にわたって到来し、衰退しつつあったネアンデルタール人集団と接触したというモデルと一致する。

