大気科学:硝酸とアンモニアの凝縮による新たな大気粒子の急速な成長
Nature 581, 7807 doi: 10.1038/s41586-020-2270-4
新たな粒子の形成は都市のスモッグに大きく寄与しているが、都市でそれがどのように起こるかは、説明がついていないことが多い。都市の粒子の成長速度が、より清浄な環境で見られる速度(1〜10 nm h−1)と同等であるとすれば、既存の理解では、新たに生じた都市の粒子は高濃度の既存粒子に捕捉されて急速に除去されるはずであると示唆される。本論文では、CERNのCLOUDチャンバーにおいて大気条件下で行われた実験を通して、約5°C以下では、硝酸とアンモニアの蒸気が、核生成直後の直径数ナノメートルほどの小さな粒子上に凝縮し得ることを示す。さらに、十分な低温(−15°C以下)では、硝酸とアンモニアは酸塩基安定化機構を介して直接核生成し、硝酸アンモニウム粒子を形成し得る。これらの蒸気の量は硫酸より1000倍多いことから、結果として生じる粒子の成長速度は極めて速く、100 nm h−1を優に超える可能性がある。しかし、こうした高い成長速度で気相過飽和を維持するには、気体と硝酸アンモニウム粒子の系が平衡から外れている必要がある。我々は、気相過飽和について測定して得た強い温度依存性を考慮し、こうした過渡的な条件は、不均一な都市環境では、特に冬季に、垂直混合や交通などの強い局所的な排出源に駆動されて生じると予想する。硝酸とアンモニアの凝縮による急速な成長は数分しか続かない可能性があるが、それでも、核生成直後の粒子を捕捉による損失に対して最も脆弱な最小サイズの範囲を通して保護するのに十分なほど速いため、それらの残存確率は大幅に高まる。さらに我々は、比較的清浄で低温の自由対流圏上部では、アンモニアが大陸境界層からの対流によって移動でき、硝酸が激しい雷雨に起因して豊富に存在するため、硝酸とアンモニアの核生成と急速な成長が重要であると予想する。

