Article
地球科学:巨大沈み込み地震前の数か月にわたる千キロメートルスケールの震動
Nature 580, 7805 doi: 10.1038/s41586-020-2212-1
巨大逆断層地震は、最も壊滅的な自然災害の原因の1つである。地震発生の物理的機構をより深く解明するために、世界中の沈み込み帯が地球物理学的計測によって継続的に監視されている。重要な方策の1つに、全球航法衛星システム(GNSS)の信号を記録する観測点を設置し、大地震時とその前後に沈み込むプレートと陸側プレートの地表の非定常な動きの追跡を可能にすることがある。本論文では、日々のGNSS時系列から長期的なプレートテクトニクス運動を分離するよう設計された、最近開発された軌跡モデル化手法を用いて、2010年のチリ・マウレ地震(モーメントマグニチュード8.8)と2011年の東北沖地震(モーメントマグニチュード9.0)に先行して、4〜8 mmの地表変位の逆転が数千キロメートルにわたって数か月間続いていたことを示す。東北沖地震前に起きた地表変位の逆転のモデル化によって、最初にゆっくりすべりが起こった後、フィリピン海スラブが突然引きずり込まれ、そのあまりの急速さに日本全域にわたって粘弾性反発が起きたことが示された。従って、巨大地震が切迫している時期をよりよく理解するには、プレート境界の摩擦過程の進化だけでなく、準安定状態のスラブの突然の高密度化などの、より深部の沈み込み過程が課す力学的な境界条件も考慮する必要がある。

